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熱中症で救急車を呼ぶ基準現場・学校・イベントで迷わない症状と初動対応

熱中症で救急車を呼ぶ基準を確認する現場責任者と安全担当者
救急車を呼ぶ基準を事前に確認しておくイメージ

熱中症が疑われる人が出たとき、「これは救急車を呼ぶべきか、もう少し様子を見るべきか」と迷う場面は少なくありません。判断が遅れれば命に関わることもあります。実際、消防庁によると令和6年は約9万7千人が熱中症で救急搬送されています。この記事では、厚生労働省・環境省・日本救急医学会などの公的情報をもとに、熱中症で救急車を呼ぶ基準を整理し、さらに「現場で誰が判断し、誰が119番し、誰が冷却し、誰が救急車を誘導するか」まで、迷わず動ける形に落とし込みます。なお本記事は医療診断ではありません。重症が疑われる場合は、現場判断で様子見せず、119番や医療機関につなげてください。

この記事の結論

熱中症が疑われる作業者の意識や水分摂取可否を確認する様子

熱中症で救急車を呼ぶ基準は?

結論:「意識」「自力で水が飲めるか」「けいれん」「歩けるか」「改善するか」を見れば、迷いにくくなります。

迷ったらまず見るべき5つの基準

厚生労働省は、意識がない・自力で水が飲めない場合はすぐに救急車を呼ぶよう案内しています。これに、けいれん・歩行困難・改善の有無を加えた次の状態が、救急要請を判断するときの基本的な目安になります。

救急車を呼ぶ・搬送を検討すべき症状現場での判断
意識がない・受け答えがおかしいすぐ119番
自力で水が飲めないすぐ119番
けいれんしているすぐ119番
ふらついて歩けない・立てない救急要請を検討
吐き気・嘔吐で水分補給できない医療機関搬送・救急要請を検討
涼しい場所で冷却しても改善しない医療機関搬送・救急要請を検討
体が非常に熱い・発汗が止まる・皮膚が赤い救急要請を検討

「本人が大丈夫と言っている」は判断基準にしない

最も注意したいのが、本人の「大丈夫」を鵜呑みにしないことです。熱中症が進むと判断力そのものが低下することがあり、また厚生労働省も、意識レベルが下がっていなくても熱中症が進行している場合があると注意を促しています。過去には、めまいやふらつきが出始めてまもなく意識を失った事例もあります。本人の言葉ではなく、意識・受け答え・自力で水が飲めるか・歩けるかといった客観的な状態で判断しましょう。

症状別|これは救急車を呼ぶ?現場判断表

結論:症状ごとに「救急車の判断」と「現場での対応」をセットで把握しておくと、迷わず動けます。
症状救急車の判断現場での対応
めまい・立ちくらみのみで会話が明瞭まず応急処置・経過観察。ただし悪化すれば搬送涼しい場所、冷却、水分塩分補給、管理者へ報告
頭痛・強いだるさ・吐き気医療機関受診を検討。改善しなければ救急要請作業中止、冷却、無理に復帰させない
嘔吐して水分が取れない搬送・救急要請を検討無理に飲ませず、冷却しながら119番判断
意識がない・返答がおかしいすぐ119番涼しい場所へ移動、冷却、無理に飲ませない
けいれんすぐ119番安全確保、冷却、救急隊へ状況説明
歩けない・立てない救急要請を検討作業中止、横にする、冷却、搬送判断
冷却しても改善しない搬送・救急要請を検討医療機関へつなぐ
高体温・汗が止まる・皮膚が赤い救急要請を検討強力に冷却しながら119番判断

※熱中症は重症度によってⅠ度(軽症)〜Ⅲ度(重症)に分けられます。ふらつき・立てない・歩けない・けいれん・意識障害などはⅢ度(重症)にあたるとされ、ただちに救急要請が必要なサインです。上記は一般的な目安であり、判断に迷う場合は早めに救急へ相談してください。

救急車を待つ間に首や脇を冷やす熱中症応急処置

救急車を待つ間にやること・やってはいけないこと

結論:待っている間も冷却を続けます。ただし、意識がはっきりしない人に水を飲ませてはいけません。

やること:涼しい場所へ移動・衣服をゆるめる・体を冷やす

厚生労働省は、熱中症が疑われる人への応急処置として、涼しい場所へ避難させ、衣服をゆるめ、首回り・脇の下・足の付け根などを冷やすことを案内しています。これらは太い血管が通る部位で、冷やした血液が全身をめぐることで体温を下げやすくなります。保冷剤や氷のう、濡らしたタオルなどを当て、可能なら体表面も冷やしましょう。冷却は救急車が到着するまで続けます。自力で水分を飲める状態であれば、ナトリウムを含む経口補水液などを本人のペースで飲んでもらいます。

やってはいけないこと:意識がはっきりしない人に無理に飲ませる

環境省の情報では、呼びかけへの反応がおかしい・答えがない場合には誤嚥の危険があるため、無理に水を飲ませないこととされています。水分は本人にコップやペットボトルを手渡し、自分で飲んでもらうのが原則です。周囲が口に流し込むのはやめましょう。また、吐き気や嘔吐があるときは胃腸の動きが鈍っているサインで、口からの水分摂取は適切でなく、医療機関での点滴等が必要になります。嘔吐しそうなときは、吐いたものがのどに詰まらないよう、体を横向きにします。

ご注意

意識がはっきりしない人、吐き気や嘔吐がある人、自力で飲めない人には、無理に水分を飲ませないでください。窒息や誤嚥の危険があります。こうした場合は、体を外側から冷やしながら、すみやかに救急要請を検討してください。
熱中症発生時に119番担当と冷却担当を分担する現場対応

現場・学校・イベントでの初動対応フロー

結論:時間で区切って動きを決めておくと、いざというときに迷いません。役割分担がカギです。

1分以内にやること

  1. 1. 作業・活動を止める
  2. 2. 涼しい場所へ移動させる
  3. 3. 意識・受け答え・歩行・水分摂取可否を確認する
  4. 4. 救急車を呼ぶ基準に該当するか判断する

3分以内にやること

  1. 1. 衣服をゆるめる
  2. 2. 首・脇・足の付け根を冷やす
  3. 3. 可能なら体表面を冷やす
  4. 4. 119番担当者、冷却担当者、誘導担当者を分ける

救急車要請後にやること

  1. 1. いつから症状が出たかを記録する
  2. 2. 作業内容・気温・WBGT・休憩状況を確認する
  3. 3. 飲水の有無、嘔吐、けいれん、意識状態をメモする
  4. 4. 救急車を誘導する人を入口に配置する
  5. 5. 家族・会社・学校管理者への連絡ルールに沿って共有する

救急隊に発症時の状況を正確に伝えられると、その後の処置がスムーズになります。「いつ・どんな作業中に・どんな症状が出て・何をしたか」を整理しておきましょう。

学校やイベント会場で熱中症対応を行うスタッフのイメージ

建設現場・工場・学校・イベント別の注意点

結論:共通するのは「一人にしない」「誘導係を決める」「中止判断をためらわない」の3点です。

建設現場

高所・単独作業では異変に気づかれにくいため、体調不良者を一人にしないことが特に重要です。広い現場では救急車がどの入口から入るか迷いがちなので、誘導係をあらかじめ決め、入口に配置できるようにしておきます。元請・協力会社をまたぐ場合は、連絡ルートも事前に共有しましょう。

工場・倉庫

機械音で異変の声が届きにくく、輻射熱で体温が上がりやすい環境です。ライン作業では「一人が抜けても他の人が気づく」体制をつくり、体調不良時はラインを止める判断をためらわないことが大切です。救護スペースと、そこへの導線を全員が把握しておきましょう。

学校・部活動

子どもは自分の体調をうまく伝えられないことがあります。指導者がWBGTを確認し、基準を超えたら活動の中止・変更を判断します。「がんばれば大丈夫」という雰囲気をつくらず、体調不良を申し出やすい環境にすることが、救急要請が必要な事態を防ぎます。保健室や救護担当への連絡ルートも明確にしておきましょう。

イベント・警備・駐車場

屋外で長時間立ち続けるスタッフや来場者の両方に目を配る必要があります。救護所の位置と本部への導線を全スタッフが把握し、誰が119番を判断するかを明確にしておきます。単独配置のスタッフには、定期的な巡回・声かけで異変を早期に見つける仕組みが有効です。

熱中症で救急車を呼ぶ事態を防ぐための計測器と冷却用品

救急車を呼ぶ事態を防ぐには?予防の3段階

結論:「計測する→体を守る→環境を冷やす」の3段階で備えると、そもそも重症化を防ぎやすくなります。

1. 計測する:WBGT・温湿度を見える化する

熱中症対策では、現場の暑さを「体感」だけで判断しないことが重要です。WBGT計や温湿度計を使い、休憩・作業短縮・声かけの判断材料にしましょう。数値で「見える化」することで、休憩のタイミングを客観的に決められます。

2. 体を守る:空調服・冷却ベストで暑さ負担を減らす

屋外作業や高温の現場では、作業者本人の暑さ負担を減らす服装対策も重要です。空調服や冷却ベストは、休憩・水分補給・環境改善と組み合わせて活用しましょう。

3. 環境を冷やす:工場扇・冷風機で休憩所と作業場を整える

熱中症対策は、作業者本人の対策だけでなく、作業場・休憩所の環境改善も重要です。工場扇や冷風機を使って空気を動かし、休憩時にしっかり体を冷やせる場所を整えましょう。

救急車を呼ぶ基準を現場ルールに落とし込む方法

結論:「判断・119番・冷却・誘導」の担当を事前に決め、朝礼で共有しておくことが、初動を速くします。

「誰が判断するか」を決める

救急車を呼ぶかどうかの判断を、その場の一人に任せると迷いが生じます。班長や責任者など、判断する人をあらかじめ決めておきましょう。判断者が不在のときの代理も決めておくと安心です。

「誰が119番するか」を決める

119番する担当を決めておくと、通報が後回しになりません。通報時に伝える内容(場所、症状、いつから、年齢など)をメモにまとめておくと、落ち着いて伝えられます。

「誰が冷却するか」を決める

通報と並行して冷却を始められるよう、冷却担当も決めておきます。応急セットや保冷剤の保管場所は、担当者だけでなく全員が知っておくことが重要です。

朝礼・事前ミーティングで共有する文例

熱中症が疑われる人が出た場合、本人が大丈夫と言っていても、受け答えがおかしい、自力で水が飲めない、けいれんしている、歩けない、吐き気がある場合は、作業を続けず救急要請を検討します。 発見者はすぐに班長へ報告し、班長は冷却担当と119番担当へ指示してください。

ご注意

救急車を呼ぶか迷った場合、地域によっては救急相談窓口(#7119 など)を利用できます。ただし利用できる地域とできない地域があるため、自分の地域で使えるかどうかを事前に確認しておきましょう。

救急車を呼ぶ前に迷いやすいケース

結論:迷うケースほど「悪化したら搬送」を前提に、付き添って経過を見守ることが大切です。

意識はあるが、吐き気がある

吐き気や嘔吐があると水分が取れません。無理に飲ませず、体を冷やしながら様子を見ます。水分が取れない状態が続く、あるいは嘔吐するなら、医療機関への搬送・救急要請を検討してください。

本人は大丈夫と言うが、歩き方がおかしい

ふらつきや歩行の異常は、重症のサインにあたることがあります。本人の言葉ではなく、立てるか・まっすぐ歩けるかを確認し、おかしければ作業を中止して救急要請を検討します。

休ませたが改善しない

涼しい場所で休ませ、冷却・補給をしても改善しない場合は、医療機関への搬送・救急要請を検討すべきサインです。「もう少し休めば」と引き延ばさないようにしましょう。

子ども・高齢者・基礎疾患がある人

子ども、高齢者、持病のある方は重症化しやすく、状態が急変することもあります。これらの方は、迷う場合でも早めに医療機関や救急へ相談するほうが安全です。

熱中症対応でやってはいけないこと

結論:よかれと思った対応が、かえって危険になることがあります。次の点に注意しましょう。
  • 意識がはっきりしない人に無理に水を飲ませる
  • 本人の「大丈夫」だけで作業や活動を再開させる
  • おでこだけ冷やして様子を見る
  • 一人で休ませる
  • 吐き気や嘔吐があるのに無理に飲ませる
  • 救急車を呼ぶ判断を一人に任せる
  • 応急セットの場所を担当者しか知らない
  • 症状が改善しないのに現場復帰させる
熱中症で救急車を呼ぶ基準を職場で共有する研修イメージ

救急車を呼ぶ基準チェックリスト

1つでも当てはまる場合は、救急要請を強く検討してください

  • 意識がない、または呼びかけへの反応がおかしい
  • 自力で水分を飲めない
  • けいれんしている
  • 歩けない、立てない、ふらつきが強い
  • 吐き気・嘔吐で水分補給ができない
  • 涼しい場所で休ませ、身体を冷やしても改善しない
  • 体が非常に熱い、発汗が止まる、皮膚が赤い
  • 子ども・高齢者・持病のある方で状態が悪化している

よくある質問

Q. 熱中症で救急車を呼ぶ基準は何ですか?

厚生労働省は、意識がない・自力で水が飲めない場合はすぐに救急車を呼ぶよう案内しています。あわせて、受け答えがおかしい、けいれんしている、ふらついて歩けない・立てない、吐き気・嘔吐で水分補給ができない、涼しい場所で冷却しても改善しない場合も、医療機関への搬送や救急要請を検討すべきサインです。本人が大丈夫と言っていても、これらに該当すれば迷わず119番を検討してください。

Q. 意識はあるけれど吐き気がある場合、救急車は必要ですか?

吐き気や嘔吐があるときは胃腸の動きが鈍っているサインとされ、無理に水分を飲ませてはいけません。環境省の情報でも、嘔吐などで水分補給ができない場合や、処置をしても改善しない場合は病院への搬送が必要とされています。水が飲めない状態が続くなら、医療機関への搬送・救急要請を検討してください。嘔吐しそうなときは、吐いたものが詰まらないよう体を横向きにします。

Q. 本人が「大丈夫」と言っている場合は様子見でよいですか?

本人の「大丈夫」だけで判断してはいけません。熱中症が進むと判断力が低下することがあり、また意識レベルが下がっていなくても進行している場合があります。意識・受け答え・自力で水が飲めるか・歩けるかといった客観的な状態を周囲が確認し、付き添って一人にしないことが重要です。

Q. 救急車を待つ間は何をすればよいですか?

涼しい場所へ移動させ、衣服をゆるめ、首回り・脇の下・足の付け根などを冷やし、可能なら体表面も冷やします。冷却は救急車が来るまで続けます。ただし、意識がはっきりしない人・吐き気や嘔吐がある人・自力で飲めない人には、無理に水分を飲ませないでください。誤嚥や窒息の危険があります。

Q. 学校やイベントでは誰が救急車を呼ぶ判断をすべきですか?

判断を一人に任せず、事前に役割を決めておくことが大切です。発見者が責任者へ報告し、責任者が119番担当・冷却担当・救急車の誘導担当に指示する流れを、朝礼や事前ミーティングで共有しておきましょう。迷ったときに備え、地域の救急相談窓口(#7119など)が使えるかも事前に確認しておくと安心です。

Q. 救急車を呼ぶ事態を防ぐには何を準備すればよいですか?

暑さを体感だけで判断せず、WBGT計や温湿度計で見える化すること、空調服や冷却ベストで作業者の暑さ負担を減らすこと、工場扇や冷風機で作業場・休憩所の環境を整えること、休憩ルールを決めること、熱中症応急セットを配置することを組み合わせて備えます。予防・環境改善・初動対応をセットで整えるのが効果的です。

まとめ|熱中症は「迷ったら早めに対応」できる現場ルールを作る

熱中症で救急車を呼ぶ基準は、意識、自力で水が飲めるか、けいれん、歩行、吐き気、改善の有無で判断します。最も大切なのは、本人の「大丈夫」だけで判断しないことです。救急車を待つ間は、涼しい場所へ移動させ、衣服をゆるめ、首・脇・足の付け根を冷やします。意識がはっきりしない人には無理に水を飲ませません。

現場・学校・イベントでは、判断者・119番担当・冷却担当・誘導担当を事前に決めておくことで、いざというときに迷わず動けます。そして救急車を呼ぶ事態をそもそも防ぐために、計測器、空調服・冷却ベスト、工場扇・冷風機、休憩ルールを組み合わせて備えましょう。「迷ったら早めに対応する」を現場のルールにすることが、命を守る第一歩です。

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